たらたら神秘主義

本と映画と音楽と日常、できれば神秘

映画『ザ・フューチャー』

先日、出張の帰りにふと思いついて、水戸芸術館に行き、 奇跡的なタイミングで、 ミランダ・ジュライの映画『ザ・フューチャー』を観た。 以前、DVDで『君とボクの虹色の世界』という映画を観て衝撃を受け、 調べたら、現代美術作家で、この映画の脚本、…

またヒップホップの話なのだけれど、 Shingo02の『歪曲』というアルバムにある「湾曲」という曲がすばらしい。 そのyoutubeでみられるPVもまたかっこよくて、奇跡的なかっこよさで嫉妬する。

日本語ヒップホップにはまっている。 いままで個人とかグループ単位でその音楽にはまることはあったけど、ジャンル全体に関心を持つようなことはなかった。 いや、なかったことはないか。クラシックとか、テクノ(エレクトロニカ)とかについて、勉強しよう…

この本ほどに、重要なことが書いてある本はめったにない。 著者は、さまざまな分野の研究に携わった人のようで、その人らしく、多様な分野の多様な人々の著書を参照しながら、「大切なこと」について考えている。 この本の魅力をあらわす部分を引用する。最…

本屋で見かけて、つい買ってしまった。 ぼくにとって人生で唯一はまりまくった音楽がこの岡村靖幸の音楽で、 一般的にはあまり有名ではないが、 早熟な天才で、くろうと受けする人だといういうのは知っていた。 でも、おおくの「はまる」場合がそうなのだろ…

iPadのアプリで青空文庫の誰かの名前を探していたら、 「片岡義男」という名前が目に入った。 青空文庫は著作権の切れた作家、つまり50年以上前に死んだ作家の作品が入っているはずなのに、 片岡義男はまだ生きているだろう、と思い、 同名作家? そんなわけ…

詩伝書 ひとりの少年が盗みをはたらき おなじ少年が詩を書いた 少年は おとなになって 詩の書き方をひとに教えはしなかったが 盗みのしかたは 年下の少年に伝授した 電車の吊革につかまりながら 師匠である青年は ときどき遠くをみて ぶつぶつと 口のなかで…

スマナサーラというスリランカの坊さんの本をたくさん読んでしばらく後、たいして熱心な瞑想を行ったわけではないが、その「境地」を理解した。 ポイントは、「今という瞬間に完全に注意を集中する」ことを通して、自分の心を観察し、それをコントロールする…

おととい失われた幾千の母に 自転車にのって どこへ行こう 夕暮れにはまだ 間があって 母もまだ 生きている 夕餉がぼくを待ってくれる この山の辺で きょう 職場へ向かう車のなか そんな だれかの故郷を思った 想像のなかで 母だけが ぼくの母であった きの…

〈あらすじへの言及あり〉 身体障害者の女の子ジョゼとの恋の話。 というと、なんかイメージしてしまうものを裏切る映画で、とてもよかった。 主人公の大学生、恒夫が倫理的な人物として描かれていないのがいい。 印象的なのが、江口徳子演じる女(どっちか…

映画『ブルーバレンタイン』

久しぶりにすごい映画を観た。 といっても、DVDで、しかも事情があってまだ最後まで観ていないのだけど。 最初の10分くらいですでにただものではないと感じた。でも、この映画の良さを言葉にするのは難しい。すごい映画なのは確かなのだけれど、いったいど…

以前知り合いにもらった現代詩の朗読CDをときどき聞く。『やさしい現代詩』という本に付いてたCDで、谷川俊太郎に始まり、いろいろな詩人が自作を朗読しているのだけど、それを聞きながら、いろんなことを考える。1.「いい女」の声というものがある。 …

柴崎友香は、保坂和志が褒めていた『きょうのできごと』がぴんとこなくてその後読んでいなかったのだけど、 『わたしがいなかった街で』について、三島賞選考のだれかの評のなかで、 「じぶんが生きていることが、たんなる偶然で、どうでもいいことだという…

たんに面白いだけではなく、「これは自分にとって特別な作家だ」と思わされる作家がいる。 読者は「この作家は自分と似ている」と思ってしまう。 サリンジャーとか、村上春樹とか。 ポイントは 1.主人公が生きづらさを抱えている。 2.しかし一方で周囲の…

タイトルのぶっきらぼうな感じにそぐわず、丁寧に書かれた上質な小説だった。 あこがれの建築家、村井俊輔の設計事務所に勤めることになった主人公が経験する仕事や恋愛、日々の暮らしが描かれる。 設計事務所で働く日々のディテールを通して書かれる建築と…

蝶を夢む 森のひらけた その場所にだけ 陽がさして ただよふ水 浮かぶ死体 ゆつくりと回転し しろい肌を ひかり 斑らにうつろふ。 あれは わたし それを どこからか見てゐる 幾億の 虫たち 鳥たち けものたちそして 木々の葉 それも わたし 一匹の蝶がまひお…

詩人のアーサー・ビナードの講演を聞いた。 なかで、詩人とコピーライターを対比していた。 どちらも言葉を操るのだが、コピーライターが不要な物を買わせるために言葉を使うのに対して、詩人は、何かに気づかせるために言葉を使う。そんなようなこと。 アー…

賞味期限というものを信用しないのには理由があって、 自分の味覚が世間一般のひとと同じだとはとうてい思えないからだ。 賞味期限とは別に消費期限というのもあって、これは、「この日付をすぎると、腹をこわすかもよ」という意味だろう。 その場合も、自分…

じぶん ぼくのクローンは二体。 本体と合わせて合計三体の「じぶん」を同時にコントロールしながら生きるのは、君たちからすると不思議なのだろうけど、慣れれば混乱することはないよ。物心がついたころには、すでにこうだから。 むしろ「じぶん」が一人だと…

小山靖代 仮のやどだと思って はいりこんだその女の部屋に もう半年も居ついてしまい 俺がいてもかまわず他の男に電話をかけて 甘えた声を出しているのを見て それでもなにも思わない俺はすでに終ってるなと 確信しながらしかし手元のニンテンドーDSに夢中…

世界とたたかうぼくの物語 堤くんが死んだ。 正月に帰省したぼくに母が伝えた。 これはあくまで 世界とたたかうぼくの物語である。 こっけいに しかし真摯にたたかう ぼくについての。 堤くんはいつもひとりだった。 小学生のぼくたちは 堤くんちの屋根のう…

7月30日から、毎日ノートをつけている。 岡田斗司夫の『あなたを天才にする スマートノート』という本の影響だ。 本からこんなに簡単に影響を受けるなんて我ながら軽薄なのだけれど、何日か、かなり楽しかった。 「スマートノート」の具体的な方法は「第1フ…

祈り冗談みたいなふりして部屋につれこもうとしたらわたしはこんなに軽い女ではないと明言するからおれもこんなに軽い男ではないと急にまじめになって明言する死の儀式だとバタイユという男が言ったんだよおれと死のうよしぬしぬしぬとおればかり大騒ぎして…

録画してあったNHKの「ETV特集 細野晴臣」を見た。松任谷由美が細野春臣の人柄について「浮遊感覚」という言葉を使っていて、この人物の良さを言い表すのにぴったりだと思った。 ぼくは音楽的教養およびセンスに欠けるので、むかし知人から薦められてはっぴ…

タイトルから想像してしまうよりずっと豊かで、誠実な本で、 久しぶりに大きく心に響いた。 精神科医としての経験から、ひとの心の苦しみや、人間的な成長について書いているので、 それは河合隼雄みたいなものか、と言われれば、まあ、似ていると答えるしか…

インターネット上にある津波の映像をたくさん見た。どうして好きこのんでそんなものを見ているのかと考えてみると、津波というものに目が吸い寄せられて、それに魅せられているのだと気づく。 以前、はじめて本格的な登山をしたときに、巨大な山のなかで道に…

震災をきっかけについて、いろいろ、考えたような考えないような、でも脳が考えようとする感じ、だけはある。まとまらないままに何とか書こうとすれば、そのひとつは、危機において人間の本性が現れるとするなら、ぼくはその検証に耐えられるほどの「正しさ…

裏切りの記憶 いつだか見知らぬ一人の男に話しかけられたことがあった。 ミズホは元気かとこれも 知らない女のことを訊かれて 俺はうすら笑いを浮かべながら もしかして俺には瑞穂という女がいて 今この広場で待ち合わせていたとしても 少しも変ではなくて、…

森に棲む魚 人生の終わりに老人 すなわち私は 木々に囲まれた夕暮れの庭の 池のほとりにしゃがみこんでいる 鬱蒼と生い茂る木々に覆われた 緑色の濁った池 その水面を見つめるとき 鬱蒼とした木々が風にさわぎ 始まりも終わりもない時間が たゆたっている そ…

ひさしぶりにサガンを読んだ。 以前個人的にサガンブームがやってきたときにブックオフとかで新潮文庫のサガン作品を集めておいたのが、役に立った。 20冊以上ある文庫本のなかでどれを読んでどれを読んでいないのかよく分からないものもあるのだが、 『冷…