たらたら神秘主義

本と映画と音楽と日常、できれば神秘

映画『ザ・フューチャー』

先日、出張の帰りにふと思いついて、水戸芸術館に行き、
奇跡的なタイミングで、
ミランダ・ジュライの映画『ザ・フューチャー』を観た。


以前、DVDで『君とボクの虹色の世界』という映画を観て衝撃を受け、
調べたら、現代美術作家で、この映画の脚本、監督、主演を行っていて、
しかも小説まで書いている人だと知った。


その一作で、ミランダ・ジュライの魅力にとりこになり、
短編小説集『いちばんここに似合う人』も、翻訳されてすぐに読んだ。
出張の何日か前に、ミランダ・ジュライツイッターでも、水戸芸術館の「拡張するファッション」展に自分の作品が展示されることを告知していて、気になっていたけど、その日に映画が上映されるのを知らなかったので、奇跡的なタイミングというわけです。


『ザ・フューチャー』も魅力的な映画だった。映画のストーリーがどうこう、というより、そこにミランダ・ジュライという人が存在する、ということを生々しく感じる。人間の輪郭(見た目でなく)というのは、人それぞれで、人によってはぼんやりして周囲に溶け込んでしまい不分明だ。それと対照的に、映画の中で描かれるヘンテコでおかしなエピソードを通して、この世界に溶け込めない孤独が浮かび上がってくる。それが、ミランダ・ジュライの生々しさだろう。
孤独と孤独が溶けあえないことを断念することでしかつながれないという矛盾が切ない。


映画を採点:★★★★☆☆