たらたら神秘主義

本と映画と音楽と日常、できれば神秘

2008-01-01から1年間の記事一覧

修学旅行の引率でフランスとイギリスに行った。 旅行全体の印象としては、生徒に対する愛情みたいなものが、以前にも増して湧いてこなくて、かなり教師不適格という感じの漠然とした不快感を持って終わったのだけれど、今回の収穫は、「モダンアート的視点」…

ひさしぶりにヴァルネラ的気分になった。 (ヴァルネラとはヴァルネラビリティーの略。大江健三郎が使っていた言葉を、もしかしたら誤用しているもの。攻撃されやすさの意味。気分が弱っていることにより全身からいじめられっこオーラが出る状態。) 要因1 …

映画『潜水服は蝶の夢を見る』

ユーモアというのは、単なる笑いのことではなくて、生きる姿勢のことである。 実話をもとにしたフランス映画。雑誌『ELLE』の編集長をしていた主人公が、突然脳卒中かなにかで意識を失い、目覚めると、全身麻痺の状態になっていた。世界とつながっている唯一…

模擬試験の監督をしながら、ティム・オブライエンの『世界のすべての七月』を読んでいた。 『本当の戦争の話をしよう』もそうだったけど、これも、じんわり心に届くいい小説だ。 大学の同窓会に集まってきた50代の人々の、現在と過去を交互に描いた作品。 …

ここ1週間ほど仕事が忙しくて、退勤時刻も遅くなりがちだった。具体的に忙しくなる理由が見当たらないのに、仕事の忙しい時とそうでないの時の波があるのは不思議だ。だけど今日はいつのまにか忙しさの波が引いていってしまったようだった。少しでも隙がで…

8月は比較的余裕があったので、彫刻を始めた。 中学だか高校だかの教科書で、高村光太郎のナマズの彫刻を見て以来、ずっと潜在的に木彫をしたいと思っていたことに気づいたのだ。 書道教師の同僚が、木にも刃物にも彫刻にも詳しくて、いろいろ教わりながら…

iPodが壊れてしまい、さっき修理を依頼した。 二度目である。 この前は、ネット上で修理を依頼した翌日には宅急便の人が回収に来てくれ、1週間ほどで修理が終わると送り届けてくれた。 とてもスマートなシステムが出来上がっていて、感心した。 カーナビも…

帰宅したのが明け方だったので、今日は一日中眠っていた。 夕方に目を覚まして洗車場に行って車を洗い、ワックスを塗る段になったら雨が降ってきた。 洗車場を管理しているおじさんがやってきて「雨がふってきちゃったな」と話しかけてくる。この人はぼくが…

過去のさまざまな事件における死者数が気になる。 以下に大雑把な人数をメモしておく。ただし、諸説あって現在も研究されているような場合(ユダヤ人のホロコースト)や、その事件のあとどれくらいまでを数えるかによって変わってくる場合(原爆の後遺症によ…

映画『微熱 愛と革命の日々』

ノルウェイ映画。年をとった教師が、武装革命を目指す共産主義の党に入って活動した過去を振り返る。 日本の学生運動の話と同じように、「青臭い」理想をかかげてがんばる人たちに対する興味という意味でもおもしろかった。 だけど、この映画に命を与えてい…

今日の夕方は、かなり「うんざり」していた。 原因は自分の無能さだとか、劣等感だとか、まあそんな感じのことなんだけれど、 「仕事をすること自体に、もううんざりした。他の選択肢、ないかな」などと同僚に愚痴を言っていたら、 「他に何ができる?」と言…

映画『トレインスポッティング』

パッケージを見て、このタイトルは記憶があるけど、まだ観たことがないよなあと思って借りたのだけど、始まってすぐに観たことがあるのを思い出した。 と、いうくらい記憶に残らないなら、たいした映画ではなかったのだろうと思ったら、これがかなりかっこよ…

『ゲーム的リアリズムの誕生』は、『動物化するポストモダン』の続編。『動物化〜』は読んでいたけど、同僚から薦められて(というか、勝手に本を貸されて)、読んだ。同僚は、対談集『リアルのゆくえ』が白熱していて面白かったらしくて、「俺だったらあん…

映画を採点

『彼女の恋から分かること』……★★★☆☆☆ 『彼女を見れば分かること』の続編みたいな売り方だけど、監督は同じでも、登場人物が共通しているわけでもなく、まったく続編ではない。 10人の女性が順番に、椅子に座ったまま、自分の恋愛について語るという内容。だ…

先日、叔母の葬式で、久しぶりに宗ちゃんに会った。宗ちゃんはおそらく60代、スキンヘッドのおじさんで、親戚のみんなが「宗ちゃん」と呼ぶからここでもそう呼ぶけれど、実際ぼくがどう呼びかければいいのかは分からないでいる。 宗ちゃんは変人である。最…

映画『ダークナイト』

あまりに評判がいいので、『ダークナイト』を観た。 エンターテインメントとしては、すごいレベルの高さだとは思う。監督のクリストファー・ノーランというのは、ずいぶん能力のある人だなあと思ったら、『メメント』の監督だった。 でも、あきらかに『メメ…

故郷 故郷の村は 掘割のような水路に囲まれた 一区画である。 周囲を一回りするのに 二十分もかからない小さな土地に 多くの家々が密集し あいだを細く入り組んだ路地が 縫っていた。 *村に出入りするための 唯一の通路 北側の小さな橋を渡るとすぐに ひし…

映画を採点

『崖の上のポニョ』……★★☆☆☆☆ 美しいものは、自然にできてしまったという感じがするのに対して、失敗作というのは、無理に作ったという感じがするものだと思う。 『愛より強く』……★★★★☆☆ 『DEATH NOTE』……★☆☆☆☆☆ 劇場版。ひどい。中・高生は楽しいのかもしれ…

ひと月くらい前だろうか。夕方、家の近所を散歩した。 なんでもない住宅地をちょっと西に逸れたら、何かが変わった。 あたりが急にしずかになって、鳥の声が妙に鮮明に聞こえる。どこかの家で奥さんが誰かに怒っている声が、筒抜けになって空間に響いている…

映画『愛より強く』

そういえば、『崖の上のポニョ』も観たんだった。でもあれは、残念ながら、★★☆☆☆。 僕が宮崎駿だったら、背筋が寒くなる出来だと感じると思う。 年齢的にエネルギーが足りないなら、別の方向性で映画を作ったらいいのに。大きなお世話だけど。 でも、観た直…

夢の女 1その人とともに、夜の河のほとりに住んでいたことがある。その頃、私と彼女は、ひとつだった。体をかさね、目を瞑りながら、ただ水の音を聞いていた。それは、別の世界での出来事。会ったことのない女の記憶。 2ある日彼女は、黒い河に流されてい…

雨ふる鉄塔、森の中 幼い私が 雨のなかで 鉄塔の 赤い光を見つめてる 見渡すかぎり誰もいない 畑の中を しとどに濡れて 歩き出す 世界が何かも 分からないままに 鉄塔は 森の中に立っている 大きな蛇や 素性の知れない ぼろをきた男や 突然現れる 小さな電車…

貴志祐介『新世界より』(講談社)を読んだ。未来、超能力を使うことのできる人々の社会が舞台。そこに育つ子供たちが、平和な世界の背後に隠されたタブーに気づいていく、という話。単純に、とても面白く読んだ。この面白さは、もちろんストーリーテリング…

豊かな人生を送りたい。それが一番重要な問題だということは分かっている。 夏休みのたびにぼくは、「この夏休みを充実させられないなら、人生を充実させるなんて不可能だ」と考え、試行錯誤を繰り返してきた。「人生全体の象徴としての夏休み」。だけど今ま…