たらたら神秘主義

本と映画と音楽と日常、できれば神秘

 人生で望むものは?

人生で望むものは? 金か 人々の尊敬か? 君の望みは何だ?そいつを本気で考えてみろ 『さよなら、僕のマンハッタン』という映画のなかで、アパートに越してきた謎めいた隣人が、若い主人公にそんなふうに尋ねる。 What do you want.In your life.You want m…

この本ほどに、重要なことが書いてある本はめったにない。 著者は、さまざまな分野の研究に携わった人のようで、その人らしく、多様な分野の多様な人々の著書を参照しながら、「大切なこと」について考えている。 この本の魅力をあらわす部分を引用する。最…

本屋で見かけて、つい買ってしまった。 ぼくにとって人生で唯一はまりまくった音楽がこの岡村靖幸の音楽で、 一般的にはあまり有名ではないが、 早熟な天才で、くろうと受けする人だといういうのは知っていた。 でも、おおくの「はまる」場合がそうなのだろ…

iPadのアプリで青空文庫の誰かの名前を探していたら、 「片岡義男」という名前が目に入った。 青空文庫は著作権の切れた作家、つまり50年以上前に死んだ作家の作品が入っているはずなのに、 片岡義男はまだ生きているだろう、と思い、 同名作家? そんなわけ…

柴崎友香は、保坂和志が褒めていた『きょうのできごと』がぴんとこなくてその後読んでいなかったのだけど、 『わたしがいなかった街で』について、三島賞選考のだれかの評のなかで、 「じぶんが生きていることが、たんなる偶然で、どうでもいいことだという…

たんに面白いだけではなく、「これは自分にとって特別な作家だ」と思わされる作家がいる。 読者は「この作家は自分と似ている」と思ってしまう。 サリンジャーとか、村上春樹とか。 ポイントは 1.主人公が生きづらさを抱えている。 2.しかし一方で周囲の…

タイトルのぶっきらぼうな感じにそぐわず、丁寧に書かれた上質な小説だった。 あこがれの建築家、村井俊輔の設計事務所に勤めることになった主人公が経験する仕事や恋愛、日々の暮らしが描かれる。 設計事務所で働く日々のディテールを通して書かれる建築と…

タイトルから想像してしまうよりずっと豊かで、誠実な本で、 久しぶりに大きく心に響いた。 精神科医としての経験から、ひとの心の苦しみや、人間的な成長について書いているので、 それは河合隼雄みたいなものか、と言われれば、まあ、似ていると答えるしか…

ひさしぶりにサガンを読んだ。 以前個人的にサガンブームがやってきたときにブックオフとかで新潮文庫のサガン作品を集めておいたのが、役に立った。 20冊以上ある文庫本のなかでどれを読んでどれを読んでいないのかよく分からないものもあるのだが、 『冷…

本谷有希子の『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(講談社文庫)を読んだ。 すごい熱気を感じる。解説で高橋源一郎が「絶望感」という言葉でこの小説を説明している。「…そして、『真実』に直面したものが、必ずそうなるように、彼らは、もっとも深い絶望に…

島薗進『新新宗教と宗教ブーム』(岩波ブックレット)をぱらぱら読んでいる。 具体的かつ一貫して客観的な記述。新新宗教の肩を持つわけでもないけど、それらの宗教にのめり込む人の心情について、簡潔ながらも説明しようとしている。 ぼくは無信仰だけど、…

映画『新選組始末記』

実は「新撰組」物は、読むのも見るのも初めてで、以前からぼくは、人々がその歴史=物語のどこに惹かれるのかよく分からないと思っていた。 で、新撰組物の小説と映画に触れてみて、今の段階でいえば、その魅力はやっぱりよく分からない。原因は、おそらくこ…

これもヴィレッジヴァンガードで買った。エイリアンのデザインで有名な画家の画集。 エイリアンが流行っていたころは、単に「気持ちの悪い生き物を描くのがうまい人」くらいにしか思っていなかったけど、 時間が経過してから改めて絵画として見てみると、か…

今更かもしれないけど、ヴィレッジヴァンガードが楽しくて、気づくと至るところに店舗ができているから見かけるたびに入って、しかも同じ店に何度も行ってしまう。 おどろくのはそこに置いてある本のチョイスで、ときどき、「この本を薦めるなんてすごい!」…

ここに何か書くたびにひきこもり欲のことを書いているけど、秋から冬にかけての今頃のひきこもり欲は本物、という感じがする。昨日、今日と、惰眠をむさぼりながら、このまま社会に復帰しなくてもよかったらどんなにいいか、と思っていた。 たとえば働き方の…

ここしばらくの「トイレ本」(自宅トイレだけで読む本)は『シャーマンズボディ』(アーノルド・ミンデル著、コスモス・ライブラリー)だった。かなりあやしげな内容だけど、おもしろい。 ぼくにとって「神秘主義」とは、フィクションである。というか、世界…

模擬試験の監督をしながら、ティム・オブライエンの『世界のすべての七月』を読んでいた。 『本当の戦争の話をしよう』もそうだったけど、これも、じんわり心に届くいい小説だ。 大学の同窓会に集まってきた50代の人々の、現在と過去を交互に描いた作品。 …

ここ1週間ほど仕事が忙しくて、退勤時刻も遅くなりがちだった。具体的に忙しくなる理由が見当たらないのに、仕事の忙しい時とそうでないの時の波があるのは不思議だ。だけど今日はいつのまにか忙しさの波が引いていってしまったようだった。少しでも隙がで…

『ゲーム的リアリズムの誕生』は、『動物化するポストモダン』の続編。『動物化〜』は読んでいたけど、同僚から薦められて(というか、勝手に本を貸されて)、読んだ。同僚は、対談集『リアルのゆくえ』が白熱していて面白かったらしくて、「俺だったらあん…

貴志祐介『新世界より』(講談社)を読んだ。未来、超能力を使うことのできる人々の社会が舞台。そこに育つ子供たちが、平和な世界の背後に隠されたタブーに気づいていく、という話。単純に、とても面白く読んだ。この面白さは、もちろんストーリーテリング…

プラトン『ゴルギアス』(岩波文庫)を読んでいる。 プラトンを読むたびに、ほんとに紀元前の本かよ、と驚きながら読む。 すごくおもしろくて、哲学的エンターテインメントという方向性の本は現代でもたくさんあるけど、 哲学の祖といわれるプラトン(哲学の…

貴重な休日。11時から3時くらいまで眠ってしまった。 起きるとすでに光が夕方じみていて、悲しくなった。 だけど、ときどき意識を浮上させながら怠惰に眠りつづけているときの背徳的なまでの心地よさは、他には代えがたい。 その時間が純粋にその時間だけで…

ずいぶん前に買って、ちびちび読んだいたせいで、読み終わったのだかまだなのだか、よく分からなかった中沢新一の本を、読み終えた。 「知的な本」というのは、意外と貴重で、むずかしいことを言っていたり、たくさんの知識を披露していたりする本はたくさん…

金井美恵子の『目白雑記』がおもしろかったので、買ったまま放ってあった『重箱のすみ』や、新たに買った『「競争相手は馬鹿ばかり」の世界へようこそ』といったエッセイ集を読んでいる。 どちらも、『目白雑記』よりも前に書かれた文章が主のようで(ちゃん…

金井美恵子『目白雑記(ひびのあれこれ)』(朝日文庫)を読んだ。 金井美恵子を最初に読んだのはたしか『タマや』で、大学生のぼくはそのかっこよさにかなり興奮した。 浅田彰が金井美恵子の小説を、「何も意味のないレース編みたいな小説」と表現していた…

昨日の晩、読みかけのままで本棚に置いてあった大江健三郎の『静かな生活』が目に付いて、手に取ってぱらぱらめくっていたら、字面が妙に魅力的なので、しばらく読んでみた。 「字面が魅力的」というのは、長年の読書経験から培われた勘のようなもので、実際…

昨日はひさしぶりに「ひきこもり寝」をした。 「ひきこもり寝」はただ眠るのとは違う。肉体が求めるのではなく、精神が求める睡眠、という感じ。 つまりは昼寝なんだけど、すべての昼寝が「ひきこもり寝」というわけではない。 ときどきこれをやらないと、自…

服部文祥『サバイバル登山家』を読み終えた。 この人は「生命体としてなまなましく生きたい」から、食料も燃料もテントも持たずに山に分け入っていく。 「考える」ということは、ただ抽象的なだけだったら意味がなくて、「生きる」こととつながっていて初め…

忙しいのであまり本が読めない。昼休み、職場の廊下を歩きながらとか、小谷野敦『すばらしき愚民社会』(新潮文庫)を読んでいる。 とてもおもしろい。 いろいろな社会現象について、日本文学と日本史の知識を背景に大胆に意見を述べている。この人の本は、…

今日はひきこもり欲がつのっている気がして、ずっと夢うつつの状態で過ごした。『サバイバル登山家』という本を読んでいるのだけど、タイトルと表紙(岩魚の皮を歯で引きちぎっているのがカメラ目線で写されている。目が尋常ではない)がバカっぽいのに対し…