たらたら神秘主義

本と映画と音楽と日常、できれば神秘

ひさしぶりにサガンを読んだ。
以前個人的にサガンブームがやってきたときにブックオフとかで新潮文庫サガン作品を集めておいたのが、役に立った。
20冊以上ある文庫本のなかでどれを読んでどれを読んでいないのかよく分からないものもあるのだが、
『冷たい水の中の小さな太陽』は初めて読んだ。


いろんな本に手を出しても、どうでもいいことばかり書いてあって、「読みたいのは人生についての記述だ。それ以外費やす時間はいっときたりとも、ない」と感じる時がある。
そんなときに読んだから、心に染みた。
まさしくすべての描写が「人生について」であるような本だった。
あまりにも痛々しくて、単純に好きな作品とは言えないけど、
サガンでなければ書けないような、奥深い人物像――特に、主人公が好きになるナタリーという人物――
に感動する。
ストーリーではなく、その人物に感動するというのは、小説のなかでも上質なものの証拠だ。

小説を採点:★★★★★