たらたら神秘主義

本と映画と音楽と日常、できれば神秘

ドラマ『マッドメン』

久しぶりにここに書く。3月以来だから8ヶ月ぶり。


通勤途中にいろいろと海外ドラマも見てきたけど、
『マッドメン』というアメリカのドラマは群を抜いてすばらしい。


『24』みたいなストーリー重視のドラマは、見ているうちに突然どうでもよくなってしまう。
これはストーリー的にはどうということもない。1960年代のニューヨークの広告業界を描くという内容。
ただ、かっこよくて丁寧な脚本と、かっこよくて丁寧な演出によってすばらしい作品に仕上がっているというだけ。
誠実に作品を作るとはこういうことか、と思い知らされる。
奇想天外なストーリーもキャラクターもなく、ただ平凡でリアルな人間が仕事をして、私生活を送っているということが、むしろ、新鮮におもしろい。


ただし主人公のドン・ドレイパーの魅力というのは、重要だ。
ヘミングウェイの『日はまた昇る』の主人公、ジェイクに通じる魅力だと感じる。
心に抱えた鬱屈や激情を抑制することの美学。
登場人物として感情を表に出さないというだけでなく、作品としても抑制的に描くことで、いっそう真実の人物がそこにいると感じさせる。


海外ドラマを採点:★★★★★