たらたら神秘主義

本と映画と音楽と日常、できれば神秘

2011-01-01から1年間の記事一覧

小山靖代 仮のやどだと思って はいりこんだその女の部屋に もう半年も居ついてしまい 俺がいてもかまわず他の男に電話をかけて 甘えた声を出しているのを見て それでもなにも思わない俺はすでに終ってるなと 確信しながらしかし手元のニンテンドーDSに夢中…

世界とたたかうぼくの物語 堤くんが死んだ。 正月に帰省したぼくに母が伝えた。 これはあくまで 世界とたたかうぼくの物語である。 こっけいに しかし真摯にたたかう ぼくについての。 堤くんはいつもひとりだった。 小学生のぼくたちは 堤くんちの屋根のう…

7月30日から、毎日ノートをつけている。 岡田斗司夫の『あなたを天才にする スマートノート』という本の影響だ。 本からこんなに簡単に影響を受けるなんて我ながら軽薄なのだけれど、何日か、かなり楽しかった。 「スマートノート」の具体的な方法は「第1フ…

祈り冗談みたいなふりして部屋につれこもうとしたらわたしはこんなに軽い女ではないと明言するからおれもこんなに軽い男ではないと急にまじめになって明言する死の儀式だとバタイユという男が言ったんだよおれと死のうよしぬしぬしぬとおればかり大騒ぎして…

録画してあったNHKの「ETV特集 細野晴臣」を見た。松任谷由美が細野春臣の人柄について「浮遊感覚」という言葉を使っていて、この人物の良さを言い表すのにぴったりだと思った。 ぼくは音楽的教養およびセンスに欠けるので、むかし知人から薦められてはっぴ…

タイトルから想像してしまうよりずっと豊かで、誠実な本で、 久しぶりに大きく心に響いた。 精神科医としての経験から、ひとの心の苦しみや、人間的な成長について書いているので、 それは河合隼雄みたいなものか、と言われれば、まあ、似ていると答えるしか…

インターネット上にある津波の映像をたくさん見た。どうして好きこのんでそんなものを見ているのかと考えてみると、津波というものに目が吸い寄せられて、それに魅せられているのだと気づく。 以前、はじめて本格的な登山をしたときに、巨大な山のなかで道に…

震災をきっかけについて、いろいろ、考えたような考えないような、でも脳が考えようとする感じ、だけはある。まとまらないままに何とか書こうとすれば、そのひとつは、危機において人間の本性が現れるとするなら、ぼくはその検証に耐えられるほどの「正しさ…

裏切りの記憶 いつだか見知らぬ一人の男に話しかけられたことがあった。 ミズホは元気かとこれも 知らない女のことを訊かれて 俺はうすら笑いを浮かべながら もしかして俺には瑞穂という女がいて 今この広場で待ち合わせていたとしても 少しも変ではなくて、…

森に棲む魚 人生の終わりに老人 すなわち私は 木々に囲まれた夕暮れの庭の 池のほとりにしゃがみこんでいる 鬱蒼と生い茂る木々に覆われた 緑色の濁った池 その水面を見つめるとき 鬱蒼とした木々が風にさわぎ 始まりも終わりもない時間が たゆたっている そ…