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　　小山靖代

仮のやどだと思って
はいりこんだその女の部屋に
もう半年も居ついてしまい
俺がいてもかまわず他の男に電話をかけて
甘えた声を出しているのを見て
それでもなにも思わない俺はすでに終ってるなと
確信しながらしかし手元のニンテンドーＤＳに夢中になることいがい
俺にやるべきことはないわけなのだが
ふと男の義務としてここはしっとをすべきなのでないかと
考えたけれどもしっとのしかたがわからないから
電話する女の後ろから乳房をさわってやったら
振り向きもせずにじゃけんに肘で押し返されて
そのまま床に転がり
点滅するニンテンドーの画面をじっとみている

――夕暮れどき中学校の裏玄関で
告白してきた小山靖代に
おまえはおれの何がわかって好きなんだと
きいてみたら
困った顔をしてごめんと言って去っていったのを
思い出した　俺のことが好きだなんて
小山靖代みたいなかしこい子がどうして間違えちゃうかね
だけどあいたいなあ小山靖代