たらたら神秘主義

本と映画と音楽と日常、できれば神秘

島薗進『新新宗教と宗教ブーム』(岩波ブックレット)をぱらぱら読んでいる。


具体的かつ一貫して客観的な記述。新新宗教の肩を持つわけでもないけど、それらの宗教にのめり込む人の心情について、簡潔ながらも説明しようとしている。


ぼくは無信仰だけど、オウム真理教などの新新宗教が求められる土壌については共感しないでもない。単なる現世的な価値だけで生きるのは虚しい、という気持ちはむしろまっとうなものだと思う。この本の中で言うと、「呪術=宗教的大衆文化に興味を示し、新霊性運動に共鳴しながら、新新宗教はうさんくさいと思っている人」の一人なのだろう。この中で紹介されているA・Kさん(22歳)の言葉――「頭を空っぽにして、自然な状態であると、人間の中の宇宙と、外の宇宙が一致するの」とか、「正しい呼吸法を習い、いつでも宇宙との一体感を感じることができるようになる」とか、「セックスでもいい、ドラッグでもいい、一度エクスタシーを知ることが宇宙との一体感を知る手っ取り早い方法」とかを興味深く思ってしまう。


そうした神秘主義的な関心は、一歩まちがえると危険なのかもしれない。それでもとにかく無関心ではいられない。ジョン・ホーガン『科学を捨て、神秘へと向かう理性』(徳間書店)にもある通り、どんなに科学が進んでも、科学では説明できない部分があるし、もっとも大切なことは、科学では解明できないのだから仕方がない。