たらたら神秘主義

本と映画と音楽と日常、できれば神秘

修学旅行の引率でフランスとイギリスに行った。
旅行全体の印象としては、生徒に対する愛情みたいなものが、以前にも増して湧いてこなくて、かなり教師不適格という感じの漠然とした不快感を持って終わったのだけれど、今回の収穫は、「モダンアート的視点」だった。

モダンアート的視点というのは、物事の見方である。その基準は、単なる「美」ではない。単なる「美」はときに退屈きわまりない凡庸さを示す。必要なのは、たとえば「笑い」のようなもの。ありきたりの場所にいきついてしまわないように微妙な路線で美を目指すこと。という感じだろうか。

フランスのルーブル美術館はガイドの解説を聞くことでほぼ終了してしまったので大して面白くなかっただけれど、イギリスのナショナル・ギャラリーとか大英博物館あたりでかなり面白くなってきて、テート・モダンで最高潮に達した。

大英博物館の「お宝」をぼくは少しも面白いと思えないのは以前のままで、だけど、たとえばメソポタミア時代の牛の彫刻とか、アフリカ館にあった彫刻(写真参照)
なんかはあきらかにモダンアート的な「笑い」の要素を含んでいて、こんな時代にこんな微妙な感じのセンスをもったクリエイターがいたということがたまらない。

この前も書いたけど、芸術作品を見ていてエキサイトするのは、必ず、自分も作りたい!という気持ちになるときである。その場で模写をするのも気持ちいいかもしれないけど、できれば粘土を持って行ってその場で彫刻を見ながら模造(?)したいと思った。

自分も作りたいという気持で見ていると、テート・モダンなんかでは、「先にやられた!」とか、「これと同じものを違うテーマで自分も作りたい」という感じで心を動かされる。

今までも、そう思ってパステルの画材を買い込んだり、粘土を買ったり、彫刻を始めたりしては、いつもすぐにやめてしまっていたけど、今回は、本当に始めよう。でも、ぼくの人生の優先順位の最上位ではないから、ちょっとあやしい。人生は短い。焦る焦る。