たらたら神秘主義

本と映画と音楽と日常、できれば神秘

映画を採点

『彼女の恋から分かること』……★★★☆☆☆
 『彼女を見れば分かること』の続編みたいな売り方だけど、監督は同じでも、登場人物が共通しているわけでもなく、まったく続編ではない。
 10人の女性が順番に、椅子に座ったまま、自分の恋愛について語るという内容。だいたいはどうでもいい感じなんだけど、4人目かな、友人とギリシアを旅行中、レストランのウェイターにナンパされたときの話が、妙に文学的でなんだか感動してしまった。ウェイターの馬鹿っぽさに反感を持ちながら、なぜか微妙な流れで男についていってしまうその雰囲気。ギリシアの田舎の空気。何気なく流れる時間。セックスをしながらも、けっして男に心を開くまいとする中から漂い出てくる孤独。レストランに戻ってきて、人々を見まわしながら感じたことを語るラストの部分は、明らかに上質な文学のものだった。
と、思って、さっき調べたら、この映画の監督ロドリゴ・ガルシアは、ノーベル賞作家のガルシア・マルケスの息子らしい。なるほど。


ホーリー・スモーク』……★★☆☆☆☆
 カルト宗教にはまってしまった娘を脱洗脳しようとやってきた男が、逆に娘にひざまずく。シブい男、という感じで登場した人物が、娘にかしずき、滑稽な姿になっていくのは「みちゃいられない」という感じだった。そういう意味では価値がなくはないのかもしれないけど、映画的な質の良さは感じない。


『不完全なふたり』……★★☆☆☆☆
 諏訪敦彦という日本人監督がフランス人スタッフとともに映画を作り、高い評価を得ているらしい。この映画については、簡単にダメ、と言い切る自信はないのだけど、あまりおもしろくはなかったので、正直に。


『フリー・ゾーン〜明日が見える場所〜』……★★☆☆☆☆
 「ヨルダンの自由貿易地区で偶然巡り合ったアメリカ、イスラエルパレスチナの三人の女性たちの交流」という話。人物造形とか、ラストの始末のつけ方とかが安っぽい。


『キューブ』……★★★☆☆☆
 発想はおもしろいし、数学的な解釈も、ぼくにはとても思いつけないので、まあ、よいのではないだろうか。ぼくが欲している映画ではないというだけ。
 で、本篇よりも、同じ監督の習作なんだろうけど、「エレベイテッド」という短編映画がDVDに入っていて、これがすごくおもしろい。『キューブ』が、なんとなくハリウッド的なステレオタイプを思わせるのに対して、こちらは、ハリウッドのパロディという雰囲気があって、むしろ上質なんじゃないかと思う。


『リアリティ・バイツ』……★★★☆☆☆
 ウィノナ・ライダーが、いい。反発しあう二人が、最後に……というのは、ちょっと少女マンガ的なパターンだけど、人物がなんだか生々しく描かれていて、いい感じだった。細部に真実がやどっているという気がする。


『ザ・ペット』……★☆☆☆☆☆
 人間の女を裸にしてペットにする話。ショッキングにしようという意図が露骨で、ひどい映画だった。そのテーマに、ではなく、映画の作りの粗悪さか、または、ペットにされる主人公役の女の顔が美しいといわれながらも、本当に「低階級」と見えてしまうところに、すさんだ気持ちにさせられた。