たらたら神秘主義

本と映画と音楽と日常、できれば神秘

2007-01-01から1年間の記事一覧

現代文の授業で、「宮沢賢治の手紙」というものを扱った。 「手紙 四」とされるもので、無題のままで活版印刷され、匿名で郵送されたり、手渡しされたり、中 学校の下駄箱に入れられたりしたと言われる4種類の手紙のうちの一つだ。 教科書を通じて初めて読…

中学校のテニスコートは、森に接している。 その森に入って行った。 森の中は暗い。奥に進み、気づくと地面は一帯が水に浸かっている。 水の中に鮮やかな色の鯉が泳いでいる。 館内放送のような声が辺りに響き、「○○さんが亡くなりました」と告げる。 一匹の…

深い森の秘密(pure version) あなたの疲れを癒すのは 深い森 緑色に息づく木々の葉が 夜じゅう雫を滴らせる 森では遠くどこからか 迷い込んだあなたを呼ぶ あなたの本当の名前で呼ぶ だからあなたは知ることになる ずっとまえからあなたを待つ ひとりのひ…

以前『カンブリア宮殿』というテレビ番組に、「mixi」の社長と「はてな」の社長が出ていた。 二人とも興味深い人物で、その回は突出しておもしろかった。それ以来その番組はぜんぜんおもしろくないけど。 二人に共通しているのは、金儲けのために仕事をして…

このところ寝る前に読んでいるのが古井由吉の『楽天記』だ。 この人の文章はすごい。 文章を数学にたとえるなら(数学が苦手なので相当あやしいたとえだけど)、普通の小説の文章が整数だけでできているとすれば、古井由吉の文章は、分数や少数だけでなく、…

今読んでいるのが、中原昌也『子猫が読む乱暴者日記』(河出文庫)。おもしろい。 この小説のおもしろさは、普通の小説だったら決して向かおうとしない方向にどんどん進んでいく文章の運動だ。 普通の小説は、(本当の意味での)脇役にいきなりスポットが当…

映画を採点

最近、大量の映画を観ている。 DVDで、しかもかなりいい加減な見方だけど。 でも、気合を入れたら、めんどくさくて映画なんてなかなか観ていられない。本を読むのと違って、映画には気軽さが足りない。《観た映画を6段階の★で評価》 ★☆☆☆☆☆……駄作 ★★☆☆☆☆…

ぼくは暇な時間に耐えられない。 たとえばちょっとレジに並ぶような時も、文庫本を持って来ればよかったと後悔したり、 携帯でメールを打ってみたりする。 すぐに自分の順番が来てしまうのに。 今日は勤めている学校の入学試験があって、試験監督をした。 試…

自転車旅行主義 出発地は 幼い頃のぼくの家 父はまだ生きている ぐいとペダルをこぎ出すと なぜかゆがんだ青い空 あの道を右に曲がって 見慣れない路地を縫っていく 店先に座るおばさんの 人生だとか 食器の触れ合う 音だとか ここがここであることの 必然性…

兄弟 もしかしたら ぼくには遠くに兄弟がいて、 ぼくとは少しもかかわりのない人生を 生きているんじゃないのか。 近くにはゆたゆたと黒い河が流れていて、 兄弟は 赤く目を充血させた産婆によって 取り上げられる。 ぼくとは一生かかわることのない ひとり…