たらたら神秘主義

本と映画と音楽と日常、できれば神秘

「病気」は実在しない。
あくまでも人間が「病気」と名付けるかどうかの問題でしかない。


たとえば「妊娠」は激しい吐き気などの苦痛をともなうし、場合によっては死に至ることもあるが、病気とはみなされない。
しかし、「風邪」は病気とみなされる。
何が病気かを決めているのはあくまでもたまたまであって、絶対的なものではない。


新型インフルエンザの場合、ウィルスに感染しているかどうかを判定することで、熱も低くそれほど体調が悪くなくても、インフルエンザと診断されてしまう。
ウィルスに感染したか、していないか、という2分法で病気かどうかを決定することはできない。
それぞれの人間によって、病気と判断した方がいいかどうかを決めなければならない。
したがってその線引きは常にあいまいにしておくしかないのである。


ポッドキャストで聴いた「サイエンス・サイトーク」というラジオ番組の中で、岩田健太郎という医者がそういう話をしていて、すごくおもしろかった。
病気というものに興味があるからというわけではない。
ものごとを根本的に考えることで、あたりまえと思っていたものがくつがえる感覚がおもしろい。