映画『ショコラ』を観た。
(ストーリーの説明)
ある村に流れ着いてチョコレート屋を開いた主人公の女性が、厳格なキリスト教徒である村長の支配する村を、明るく幸せなものにしていくという話。
(以上)
この映画の中でチョコレートは、快楽主義の象徴という感じで描かれている。
快楽主義というと、ちょっと危険な感じもするけれど、現代における快楽主義というのは、なんだか健全すぎてかえって興ざめだ。
みんなが快楽主義だから。
じっさい、この映画を好きな人はとても健全なよい人なんだろうなと想像する。
だから、悪い映画ではないけど、よい子ちゃんの映画止まりという物足りなさを感じる。
ほんとうにおもしろいものは、危険な毒を持っているべきだと思う。
この映画からはその危険な匂いがまったくしない。
みんなが快楽主義の現代においては、むしろ、宗教に走って苦行を行っている人とかの方が変態的・背徳的な感じがする。
というより、本来の快楽主義というのは、マルキ・ド・サドの世界みたいに、自分の快楽のためにならどんな倫理に反することでもするものであって、この映画のように、よい人たちが平和に仲良く暮らすような穏やかなところには落ち着かないのかもしれない。
チョコレートの持つ、蠱惑的というか麻薬的というか、なイメージを生かすなら、映画全体がもう少し危険なものであってもいいよなあと思う。
映画を採点:『ショコラ』★★★☆☆☆