たらたら神秘主義

本と映画と音楽と日常、できれば神秘

  ラブラブラブ


ある日恋人と電話で話していると
頭の中から 何かがでてきた
耳くそかと思ったけどその瞬間
恋人のことが何で好きなのか
分からなくなっていた
床に落ちた直径5ミリほどの灰褐色の玉を
猫が食べてしまった


その週末に恋人と待ち合わせて
電車にのって相撲を見に行った
大関どうしの立ち合いのさいちゅう恋人に
なんでここにいるのか分からなくなったから帰る
と告げた


川沿いの遊歩道を歩きながら
すれ違う人たちを次々に川に突き落とした
十人を越えたくらいで後ろから
ずぶぬれの男に突き落とされた


ゆらゆらと川面を漂いながら
今ではとても遠くなってしまった
恋人のことを思った
ぼくが死んだら
代わりにミースケ(猫の名前)を育ててくれるだろうか


気づくと夕焼けの空がとても美しくて
恋人と猫と
そしてずぶぬれで川岸からぼくを見ている人々がいとおしくて
ぼくは急いでみんなを抱きしめるためにクロールで川岸に向かった