たらたら神秘主義

本と映画と音楽と日常、できれば神秘

  

  輪廻



ねえ、すてきだったねえ。あのパーティー。おぞましいものたちがたくさんいた。ピエロが話しかけてきたよね。声なくてパクパクと大きな赤い口だけが印象的だった。私をあなただと勘違いしてるからおかしくて、「ユウジはここにはいないよ」と言ったよね。でもすぐにあなたが私になった。あなたは私のふりをして、そしたらピエロがそれとなくあなたを悪く言うからたまらなくなって、くすくす笑い出した。あなたはパーティーを抜け出して、庭からおぞましいものたちの宴を眺めていた。私があなたであなたが私で、でももしかしたら、そんな区別なんてどうでもいいのかもしれない。いつかあのおぞましいものたちの一人になるんだ。そう、だから特別だなんて思うのはやめよう。そう言って、恋を語り合うようにいつもの会話、じゃなくて独り言、を繰り返したよね。だけど、ゆっくりと薄れていった。やがてあなたも私もいなくなって、そしていつか、おぞましいものの一部となった。ときどきこうして思い出すんだ。私だったことを。そしてあなただったことを。