たらたら神秘主義

本と映画と音楽と日常、できれば神秘

めずらしく飲み会に顔を出した。
飲み会というのはたいてい大人数で、そうすると会話はたいていあたりさわりのないものになって、
ほんっとにどうでもいい、と思いながら、でも会話に積極的に入っていけない自分に憂鬱になりながら過ごすことが多かったのだけれど、
最近はピンポイントでおもしろそうな人物に話しかけ、かまわずにいきなり本質的な質問をして、ディープな会話にもっていくことにしている。
人数が中途半端だと会話が必然的に全体にいきわたってしまってディープな会話を進めていくことはできないので、
この前みたいに大人数であるほうがかえって都合がいい。


一人目は、正社員にならない理由を「金儲けのチャンス」を逃したくないからという理由で説明する人。実際、今の仕事の他にいくつかの副業、というか、金儲けの手段を持っている。「そこに一万円が落ちていたら、拾うじゃないですか。それと同じですよ。」と言っていた。正社員になるとそのチャンスが失われると。一つの職業に専念しないと、スキルアップにつながらないのではないか、と訊いたら、「しいて言えば、いろんなことをやる、ということが技術になるのかもしれないですね」ということだった。


多くの人間は、金を得るためには何かの職業につかなければならないという固定観念を持っているけれど、その人は金儲けというものをもっと流動的なものとして考えている感じ。いつも、「ここからお金が生まれるんじゃないかなあ」みたいなことを考えている。この世をゲームセンターにたとえるとする。で、ゲームをしてコインを得ることが目的という設定ね。普通の人は、どれかのゲームを選んで、しかもたいていは一つのゲームを一生続けていく。だけどその人は、すでにあるゲームに参加するのではなくて、自分でもっと効率よくコインを手に入れることのできるゲームを考えようとしているのだ。そこから見える世界は、何か特定の職業の中から見ている世界と明らかに違っているだろうと思う。