たらたら神秘主義

本と映画と音楽と日常、できれば神秘

映画『ミッドナイト・イン・パリ』

風邪気味だったこともあるけど、

それ以前から、ただ生きているだけで大変、という気持ちでいて、

そういうふうだから、ここしばらく、人間にとって「理想」みたいなものがあるという、

理屈はわかるけど、気持ち、というか雰囲気を忘れていた。

 

今日は金曜日なのでいつものように実家に帰り、

腰が痛むという母と夕食を取り、

入浴後にウディ・アレンの映画『ミッドナイト・イン・パリ』を観た。

 

で、久しぶりにそういう気持ちを思い出した。

浮世離れした映画ということになるのだろうけれど、

重要なのはそこではなくて、人間にとって、「浮世=現実」以外の何か、があるということを示している。

そしてそれを示すことは、本当の強さだと思う。

 

それでも恋するバルセロナ』を観た時にも、感銘を受けたポイントとして

ウディ・アレンの開き直り、みたいなものがあって、

それは例えば、政治とか経済とかもっと重要な問題が、とか、今も飢えに苦しむ人がいるのに、とか、

とにかくウディ・アレンの映画を「いい気なもんだ」と批判する見方は当然あると思うのだけど、

そんなことは当然承知のうえで、「人はパンのみに生くるにあらず」と、言っている。

ぼくも日々そのことを肝に銘じて生きていきたいと、本当に切実に思う。

「いい気なもの」でいたい。

 

映画を採点:『ミッドナイト・イン・パリ』……★★★★☆